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抄録

第53回 日本リウマチ学会総会・学術集会 第18回 国際リウマチシンポジウム
2009.04.23(木)-26(日)
グランドプリンスホテル新高輪

パルボウイルスB19によるウイルス血症改善と伴に自然寛解した大動脈炎の一例

産業医科大学医学部第一内科学講座
○湯川宗之助、齋藤和義、澤向範文、山岡邦弘、中野和久、田中良哉

抄録全文:症例は67歳女性。約2ヶ月38℃の発熱、炎症反応高値持続し、抗菌剤は無効で造影CT上大動脈弓から腹部大動脈までの壁肥厚所見から高安病が疑われて当科転院。原因不明の貧血から赤芽球癆が疑われパルボウイルス(PV)B19を精査した所、IgM上昇とPCR陽性からPVB19感染症と診断。高安病としては非典型的な高齢発症であり、ステロイド使用を待機したが、PVB19 IgMとPCRの陰性化と共に炎症所見改善を認め、大動脈壁肥厚も消失した。ウイルス血症改善と共に自然寛解した経過より、PVB19感染に起因する大動脈炎と診断した。PVB19感染はRAやSLE等の自己免疫疾患との関与が報告されるが、大動脈炎に関与する報告は本症例が初である。大動脈炎症例の中にはウイルス血症に起因する一群が存在し、ウイルス血症改善により自然寛解が期待でき、高安病とは区別できる大動脈炎疾患として提唱できる可能性が示唆された。