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はじめに

ヒトパルボウイルスB19(PVB19)は、小児における伝染性紅斑の原因ウイルスであるが、その他ウイルス直接の障害として、溶血性貧血患者におけるaplastic crisisや免疫不全者における慢性赤芽球癆や胎児水腫の原因となる。また、免疫学的な機序として関節炎や急性糸球体腎炎を発症することが知られている。

一方、高安動脈炎は大動脈とその主要分岐および肺動脈、冠動脈に狭窄、閉塞または拡張病変をきたす原因不明の非特異性炎症性疾患と定義され、大動脈炎症候群、脈なし病、大動脈弓動脈炎とも呼ばれる。多彩な臨床症状を呈し、10~50歳の若い女性に好発する。

今回、高安動脈炎と診断可能であったが、PVB19によるウイルス血症の改善とともに自然寛解したPVB19感染による高齢発症大動脈炎の一例を経験したので文献的考察を加え報告する。